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統計学の足立堅一先生の
『どこにも書いてない、誰も教えてくれない「統計解析」
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統計学の足立堅一先生の
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第二回『乳癌の臨床』賞決定
優 秀 賞:蒔田益次郎・他
「妊娠授乳期乳癌の予後
           −妊娠と年齢が予後に及ぼす影響」

論文抄録
 妊娠授乳期乳癌症例の予後について検討した.1946年〜2002年の妊娠期乳癌の年齢分布と同じ25歳〜44歳の一側性の手術可能な邦人女性の浸潤性乳癌3,894例(妊娠期108例)を対象とし家族歴,初経年齢,手術時年齢,肥満度,初発症状,病悩期間,占居部位,割面腫瘍径,リンパ節転移個数,組織型,波及度,脈管侵襲,ER,PgR,治療時期などと予後を検討した.妊娠授乳期乳癌の予後は不良であるが,多変量解析の結果,リンパ節転移個数,PgR,手術時年齢,組織型,割面腫瘍径が独立した予後因子であった.一方で35歳以上の妊娠期乳癌の予後は不良で,35歳未満または妊娠期のどちらかが該当することによって予後が不良となっていた.(本誌第22巻2号掲載)
奨 励 賞:西尾美奈子・他
「乳癌患者におけるリンパ浮腫発現に関する調査
            −腋窩郭清術施行後の自験例202例からの検討−」

論文抄録
 背景:リンパ浮腫は乳癌腋窩郭清術後の主要な合併症であるが,その実態や危険因子に対する解明は充分ではない.今回,リンパ浮腫の実態調査と発症率および危険因子の検討を行った.対象:腋窩郭清術後の患者202例を対象とし,リンパ浮腫に関するアンケート調査を行い,臨床病理学的因子との関連を検討した.結果:76例(37.6%)にリンパ浮腫を認めた.約半数は発症予防を意識しておらず,浮腫は早期より誘引なく発症することが多かった.術式・年齢は発症の危険因子であり,体重・血清中性脂肪値は重症化との関連が見られた.結論:危険因子を考慮しつつ,術後早期よりリンパ浮腫の対策を取ることが重要と考えた. (本誌第22巻6号掲載)

選考過程
 「乳癌の臨床」誌の第22巻1号から6号までに掲載された投稿論文を対象とする「乳癌の臨床」賞の選考委員会が,2008年2月29日(金)14:00〜15:00,東京・中央区・八重洲富士屋ホテルにて,編集委員全員参加のもと開催された.

 選考委員会開催に先立ち,対象期間の全投稿論文について,各委員によってA〜Eの5段階の評価を行っていただいた.これは,昨年度は3段階評価としたが,「3段階では,評価しにくい」との反省のもと,今回は5段階評価とした.その結果を編集部にて集計し,表を作成した.

 昨年度も議論となった,「症例論文を原著論文と同じように評価することは困難である.今後は,症例論文については別途,選考してはどうか?」との意見があり,議論の結果,来年度からは選考対象を原則原著論文に特化させ,症例論文に関しては,特筆すべきものがあった場合のみ,その都度検討をしていくこととなった。

 以後,全対象論文51論文のうち,事前の5段階評価で評価が高かった19論文について個別に評価・選考が行われた.その後,特に5段階評価で高い評価を受けた3論文に絞り,各委員から意見をいただき,今回の賞に相応しい論文はどの論文かについて活発な意見交換が行われた.

 個別の論文に対しては,委員間で事前に行っていただいた評価が分かれた論文について,集中的に議論が行われた.

その結果,今回の最優秀賞は「該当論文なし」となった.また,原著論文「妊娠授乳期乳癌−妊娠と年齢が予後に及ぼす影響」(癌研究会有明病院乳腺科 蒔田益次郎先生)が優秀賞となった.さらに,奨励賞には,原著論文「乳癌患者におけるリンパ浮腫発現に関する調査−腋窩郭清術施行後の自験例202例からの検討」(大阪市立総合医療センター総合診療科 西尾美奈子先生)が選ばれた.

 なお,受賞発表として,小社ホームページおよび日本乳癌学会発行の季刊誌"NEWS LETTER"にも受賞者名と論文タイトルを掲載する.賞状と副賞は,小社より受賞者に直接持参した.

受賞の言葉
癌研有明病院乳腺科
蒔田益次郎
 この度は「乳癌の臨床」賞の優秀賞をいただくことになり,大変ありがたく光栄に思っております.癌研病院の関係者に加えて諸先輩方にも受賞のご報告とともに御礼申し上げたいと思います.といいますのも今回の論文の対象が妊娠授乳期乳癌という比較的まれな症例であり,癌研病院での約半世紀におよぶ長い年月を経て集められたものであるからです.多くの諸先輩方が地道にきちんと資料を残していただいたこと,その影に思い浮かぶめったに遭遇しない難しい症例に立ち向かった主治医の奮闘ぶり,そして妊娠授乳期に限らず多くの症例を1例1例大切に積み上げてきてきたこの病院の関係者とその歴史に敬意と感謝の意を表したいと思います.また,1990年に癌研乳腺病理部在籍中,恩師坂元吾偉先生のご指導により,癌の臨床に「妊娠授乳期乳癌の病理学的特徴について」を発表させていただきました.そのときはケースコントロールスタディでしたが,1998年に再び癌研病院に勤務するようになって今回はさらに発展させた形で発表することができたこと,そしてこのような栄誉ある賞をいただけたこと,大変感慨深い論文となりました.今後も癌研病院の先輩たちの残した資料という宝を大切に発展させ,後世に残る仕事ができたらと考えております.
大阪市立総合医療センター総合診療科
西尾美奈子
 この度は「乳癌の臨床」奨励賞にご選考頂き,真に有難うございました.このような名誉ある賞を頂くことができ,たいへんうれしく思っております.私は現在内科医として大阪市立総合医療センターに勤務しております.研修医時代の外科選択ローテーションの際に,同院乳腺外科の小川佳成先生に御教授頂いたことがきっかけとなり,乳腺の世界に興味を抱くようになりました.当院では昨年より乳腺外科が科として独立し,ほぼ同時期に術後のリンパ浮腫発症患者の増加に対応すべく,リンパ浮腫外来も開設しました.今回の論文はその開設にあたり,小川佳成先生の御指導のもと術後患者の実態調査を行い,結果をまとめたものです.このような機会を与えてくださった小川先生には本当に感謝致しております.乳癌診療に際しては,癌の根治性はもちろんですが,患者の精神的・肉体的要素を含んだQOLが他癌と比較してより一層要求される傾向があると感じます.今回の受賞は大きな励みとなりました.今後も何らかの形で乳癌診療に携わることができればと考えております.本当にありがとうございました.


本誌では今年も第三回「乳癌の臨床」賞を選考致します.日頃の研究成果を是非本誌へご発表ください。

「乳癌の臨床」編集部


お問い合わせ  株式会社 篠原出版新社
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