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統計学の足立堅一先生の
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統計学の足立堅一先生の
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第3回『乳癌の臨床』賞決定
奨励賞:枝園忠彦・他 
「原発性乳がんに対するPrimary systemic therapy(PST)の適応
― PST抵抗性乳がんを治療前に判定可能か?」

論文抄録
 国立がんセンター中央病院(NCCH)でPSTが行われた症例の中で,PSTに明らかに抵抗性であった症例について臨床組織学的および画像的検討を行い,PST前にその症例を特定可能か検討した.1998年から2007年にかけてNCCHにてPSTが行われた症例は443例.そのうち触診による判定および画像診断で明らかに腫瘍の増大が確認された症例は8例(2%)だった.
 組織学的には5/8例(63%)が最終病理にて特殊型乳がんであった.しかし,このうち術前CNB検査に特殊型と診断されていたのは3例であった.免疫学的には,全例triple negative症例であった.画像所見は比較的境界明瞭,内部不均一で限局性のものがほとんどであった.PST抵抗性症例は臨床病理的および画像的に特徴的であったが,PST前にそれを確実に判定することは困難であり,新たな指標が必要と考えた.(本誌第23巻・第1号掲載)
選考過程
 「乳癌の臨床」誌の第23巻第1号から第6号までに掲載された投稿論文を対象とする「乳癌の臨床」賞の選考委員会が,2009年2月4日(水),東京・中央区・八重洲富士屋ホテルにて開催された.

 今回より,選考対象論文は原則原著論文のみとし,症例をはじめ他の項目の論文については,特筆すべきものに限って審査対象に加えることとした.

 選考委員会開催に先立ち,対象の原著13論文について,各委員によってA〜Eの5段階の評価を行っていただき,その結果を編集部にて集計・作表した.

 以後,事前の5段階評価で評価が高かった8論文について個別に評価・選考が行われた.さらに,中でも5段階評価で高評価を受けた3論文に絞り,各委員から意見をいただき,今回の賞に相応しい論文はどの論文かについて活発な意見交換が行われたが,最優秀賞,優秀賞とするには研究デザインに物足りなさがあるという意見が委員の大半を占めた.

 結果,今回最優秀賞,優秀賞は「該当論文なし」となり,奨励賞として「原発性乳がんに対するPrimary systemic therapy(PST)の適応―PST抵抗性乳がんを治療前に判定可能か?」(岡山大学病院内分泌外科:元国立がんセンター中央病院乳腺外科 枝園忠彦先生)を決定した.

 なお,次回の審査からは,5段階評価を点数化することで議論していくことが申し合わされた.

 受賞発表として,小社ホームページおよび日本乳癌学会発行の季刊誌「NEWS LETTER」にも受賞者名と論文タイトルを掲載する.賞状と副賞は,小社より受賞者に直接持参した.

受賞の言葉
岡山大学病院乳腺・内分泌外科
(元国立がんセンター中央病院乳腺外科)
枝園忠彦
 この度は「乳癌の臨床」賞の奨励賞を賜り,真に有難うございました.大変光栄であるとともにこの賞を励みに,日常臨床での疑問を,それがたとえ些細なことであったとしても分かりやすい形にしてご報告できるようにさらに努力していきたいと思います.
 近年,日本におきましても欧米に肩を並べるように多施設で症例を集め臨床試験を行って海外や英語論文で報告し評価されることが多くなってきております.もちろんそれらの試験から得られるエビデンスレベルの高いデータこそが今後の乳癌診療の道筋を作っていくことは疑いようのないことです.しかし,「乳癌の臨床」のような日本語の雑誌の中で,一般診療として乳癌治療を行っておられる先生方や病気と闘っておられる患者様方に治療に役立つ新しい知見を直接お伝えしたり,問題点を提起することは大規模試験と同じく非常に重要であると感じております.本論文もそういった観点から英文にするよりも皆様に直接ご報告できたらという思いで投稿したものであり,その点からも今回の受賞は私にとって非常にうれしく感慨深いものでありました.最後になりましたが私がこのような報告ができましたのは,昨年までお世話になっておりました国立がんセンター中央病院乳腺外科の木下貴之先生,明石定子先生ほか皆様の温かいご指導および常に私に素晴らしいチャンスを与えてくださる岡山大学腫瘍胸部外科 土井原博義准教授のおかげであり心より感謝申し上げます.


*本誌では今年も第四回「乳癌の臨床」賞を選考致します.日頃の研究成果を是非本誌へご発表ください.
「乳癌の臨床」編集部


お問い合わせ  株式会社 篠原出版新社
Tel 03-5812-4191  Fax 03-5812-4292
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