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統計学の足立堅一先生の
『どこにも書いてない、誰も教えてくれない「統計解析」
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統計学の足立堅一先生の
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第5回『乳癌の臨床』賞決定
優 秀 賞:吉田哲也・他

「乳腺内メタリッククリップに対するCアーム透視を利用した
術前マーキング(胸壁水平・垂直透視法)」

論文抄録

 乳腺内メタリッククリップに対する術前のマーキングとしてはフックワイヤー法が主流であるが,とくに手技の侵襲性と複雑さには問題がある.今回,血管造影装置のCアーム透視を用いて乳腺内メタリッククリップを,まず胸壁に水平な透視によって発見し,続いてそのまま見失わないように透視しながらCアームを移動し,胸壁に垂直な透視位置で皮膚面にマーキングした(胸壁水平・垂直透視法).17例に本法によるマーキングを施行し乳腺部分切除術の結果,全例で切除標本のほぼ中央にマーカーを捉えた切除が可能であった.本法は確実性,非侵襲性,簡便性のみならず,胸壁に対する垂直性(クリップ直上皮膚への印)を兼ね備えたマーキング法である.(本誌第25巻 第3号掲載)
奨 励 賞:小野田敏尚・他

「石灰化病変主体の乳癌に対する超音波とマンモグラフィを併用した
マッピング法の考案とその有効性についての単施設研究」

論文抄録

 当施設では,微細石灰化を主体とする乳癌に対して,超音波(US)とマンモグラフィ(MMG)を併用した方法で部分切除の範囲を決定してきた.今回50例を対象に,1) MMGでUS Mappingを補正できたか,2) 石灰化を切除できたか,3) 局所再発例を認めるか,について検討した.50例中,断端陰性で的確に切除できたのが30例(60%),範囲が広すぎたのが10例(20%),切除断端から5 mm以内に病変を認めたのが7例(14%),断端陽性が3例(6%)で,断端陰性は40例(80%)と良好であった.MMGで範囲を補正したのは32例(64%)で,その内28例(88%)が断端陰性であった.追跡調査では局所再発は認めなかった.USとMMG併用法は,微細石灰化が有意な乳癌のマッピングに有効な手法と考えられた.(本誌第25巻 第5号掲載)
選考過程
 「乳癌の臨床」誌第25巻1号から6号までに掲載された投稿論文を対象とする第五回「乳癌の臨床」賞の選考委員会が,「乳癌の臨床」誌編集委員会によって2011年2月4(金),篠原出版新社(東京・文京区)にて開催された.
 第五回「乳癌の臨床」賞の選考対象論文は原著24本,症例28本,総説2本であった.選考委員会開催に先立ち,各委員は投稿論文について+2〜−2点に点数化した5段階で評価を行ったが,採点は原則原著論文のみとし,症例等についてはその内容が特筆すべきものに限った.また,@委員が共著者に含まれる論文,またはA委員の所属施設が筆頭著者のそれと同じ論文については,その委員は当該論文の採点を行わないこととした.各委員の採点結果は編集部にて集計し,論文毎に平均値を出した.
 選考委員会当日は,事前の5段階評価で平均値の高かった原著5論文について,個別に評価・選考が行われた.選考委員による意見交換が行われたが,最優秀賞については該当なしとの意見でまとまった.優秀賞については,委員すべての採点が高く評価にばらつきがないことから「乳腺内メタリッククリップに対するCアーム透視を利用した術前マーキング(胸壁水平・垂直透視法)」(市立貝塚病院 外科/吉田哲也先生・他)に決定した.奨励賞については,オリジナリティがあり実践的であることから「石灰化病変主体の乳癌に対する超音波とマンモグラフィを併用したマッピング法の考案とその有効性についての単施設研究」(横浜旭中央総合病院 乳腺外科(元・聖路加国際病院 乳腺外科)/小野田敏尚先生・他)が選ばれた.
 受賞発表として,小社ホームページおよび日本乳癌学会発行の季刊誌「NEWS LETTER」にも受賞者名と論文タイトルを掲載する.賞状と副賞は,小社より受賞者に直接持参した.
受賞の言葉
市立貝塚病院 外科
吉田哲也

 この度は「乳癌の臨床」賞優秀賞を賜り誠にありがとうございます.このような栄誉ある賞にご選考頂けましたことは,我々にとりましてこれ以上ない励みとなりました.心よりお礼申し上げます.思い返せば約10年前,マイクロマークしか目標のない手術に際して,直前に挿入したフックワイヤーを頼りに切除する方法は,患者さんにはもちろんのこと医療者にとっても非常にストレスのかかる方法だなと感じました.もっと簡単にマイクロマークの位置決めができ,そのマークさえ切除すれば確実にマイクロマークを含んでいるような方法はないものか.そんな方法を求めて改良を重ねた結果が「血管造影X線診断装置を用いたCアーム透視法(胸壁水平・垂直透視法)」でした.以前は「マイクロマークは置いても見えない,見えないから置かない」と耳にすることもありましたが,本法により,患者さんにも医療者にもストレスなく「見える」ようになり,切除の際の目標としてわれわれは積極的にマイクロマークを活用しています.今回の受賞は,市立貝塚病院乳がん高度検診治療センター長,西敏夫先生のご指導と緒先生方,全スタッフのご協力なしには頂くことはできませんでした.最後になりましたがこの場をお借りして心から感謝申し上げます.

横浜旭中央総合病院 乳腺外科
(元・聖路加国際病院 乳腺外科)
小野田敏尚

 この度は栄誉ある「乳癌の臨床」誌の奨励賞にご選考頂きまして,誠にありがたく光栄に思っております.石灰化病変主体の乳癌に対し,超音波とマンモグラフィを併用して行うマッピング法は,角田博子先生により提唱されてきました.今回の論文では,その手法をわかりやすく解説すること,またその臨床的意義をretrospectiveに検討することを目的として,角田先生の熱心なご指導の下で取り組んだものです.聖路加国際病院には通称「角田ノート」と呼ばれる,角田先生が赴任されてからの全乳癌症例の画像所見が綺麗にまとめられた大学ノートが何冊も存在します.今回の独創的な手法も,角田先生の並々ならぬ御努力の蓄積から生み出されたものと痛感しております.現在,私は横浜旭中央総合病院の乳腺外科に勤務しておりますが,聖路加国際病院にて諸先生方にご教授頂きました質の高い医療を,目の前の患者さまに実践できるように日々精進していく所存です.最後にこの論文の作成にあたり,当時ご指導頂きました中村清吾先生(現・昭和大学),津川浩一郎先生(現・聖マリアンナ医科大学),聖路加国際病院の先生方にこの場をお借りして,受賞のご報告と御礼を申し上げたいと思います.ありがとうございました.


*本誌では今年も第六回「乳癌の臨床」賞を選考いたします.日頃の研究成果を是非本誌へご発表ください.

「乳癌の臨床」編集部


お問い合わせ  株式会社 篠原出版新社
Tel 03-5812-4191  Fax 03-5812-4292
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